さよならは欺瞞だ、ずっと痛かった

さよならは欺瞞だ　ずっと痛かった

あなたはいつも私の向こうの何かを見ていたの

綺麗な面影だけなぞって　あなたの記憶が透過される

さよならは嫌いだ

花を摘むこと　そして飾り愛でること

誰かの為に　誰かを犠牲にすること

あなたにあえて　私らしく在れた

あなたのせいで　私を失ったのに

人倫に悖るそれは　神の成す御業のよう

ぐちゃぐちゃに切り刻んで　元通り通り越し癒やして

喜びを欲したのは　あなたの為　私の為？

気付かない振り　お見通しで

さよならは欺瞞だ　ずっと痛かった

あなたはいつも私の向こうに何を見ていた？

伸ばす手は行き場を失くして　三十六度の記憶を探す

冷めてゆく

指先が、空間が、瞬間が

色付いていたもの全て

嫋やかなまま　干からびてゆく

消してゆく

絡んだ手、薄明に、霞む頬

色付いていたもの全て

そうして何度も刻まれてゆく

さよならは嫌いだ

大嫌いだ

色鮮やかな花に理由があって

私も同じと思いたいだけなのでしょう　と

腑に落としかけた私の瞳はまだ

あなたを通して世界を見ているのだと

天倫に悖るそれは　業の産む道徳のよう

須らく与えて満たして　程々に生かして見下ろして

憐れみを振り撒くのは　私の為　あなたの為？

薬と信じて飲み干して

さよならは欺瞞だ　ずっと痛かった

あなたはいつも私の向こうの何かを見ていたの

綺麗な面影だけなぞって　あなたの記憶が透過される

溢れてゆく

指先に、空間に、瞬間に

色付いていたもの全て

しめやかなまま　記録がさんざめく

逆様の

解けた手、あたたかくて、みつめていて

色付いていたもの全て

そうして何度も包まれてゆく

さよならは嫌いだ

大嫌いだ

さよならは欺瞞だ　ずっと痛かった

さよならは欺瞞だ　ずっと　ずっと

ずっと痛かった